Recipe #14 はじめての経営学 #4(マーケティング)

 経営学には、大きく分けて8つのジャンル(分類)があります。以前、このSHIGOREPIでもご紹介しましたね。

今回は、その中の1つ、「マーケティング」の核心部分へ入ります。

経営学の8つのジャンル】

1.マーケティング (Marketing)‟ほったらかしでも売れる仕組みをつくる活動„                                        2.生産管理 (Production)                                           3.ロジスティクス (Logistics)                                         4.財務・会計 (Accounting & Finance)                                     5.組織・人事管理 (Organization & HRM)                                   6.情報管理 (Information)                                          7.経営戦略 (Strategy)                                            8.リーダーシップ (Leadership

目次

STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)

 マーケティングとは: 『ほったらかしでも売れる仕組みをつくる活動』のことでした。 (※ここでの「ほったらかし」とは、無理な売り込みや宣伝活動をしなくても良いという意味です)

前回のRecipe13では、お客様のニーズに対する企業の3つのアプローチ(スタンス)を学び、マーケティングの究極のゴールは、『ほったらかしでも売れる仕組みをつくること(売り込みを不要にすること)』であることを確認しました

では、その仕組みを具体的にどうやって作るのでしょうか? 「よーし、ほったらかしにするぞ!」と叫ぶだけでは、仕組みは生まれません。

それこそが、世界中の優良企業が実践している王道の戦略手順、『STPを考える』→『4つのPを展開する』です。 

これは、先人たちが「あらゆる泳ぎ方を試した結果、見つけた最適解(定石)」のようなものです。ここを理解すれば、初心者でも明日から現場で「売れる仕組み」を作り始めることができます

STPは、ほったらかしで売れる「地図」を見つけること

 STPとは、マーケティングの『戦略(地図)』の部分です。

闇雲に行動(4P)する前に、地図を広げて「どこの街の、どの家の人に、自分たちはどんな『自慢の店(立ち位置)』になるか」を決める作業、と考えるとスッキリしますね。

これが完璧に決まれば、お客様は「これこれ!まさに私が欲しかったのは、この店のこのサービスだ!」と、自ら求めてやってきてくれます。これが、売り込まなくても売れる「ほったらかし戦略(地図)」の土台です。

STP(誰に、何を、どう戦うか)「コンビニ、スーパー店舗の例」

S:セグメンテーション[Segmentation](市場細分化) 地図(市場)にいる人を「主婦」「学生」「サラリーマン」「高齢者」……と、それぞれのグループに分ける。

T:ターゲティング[Targeting](ターゲット選定) グループ分けした中から、「サラリーマンを狙おう」と、照準を合わせることです。

P:ポジショニング[Positioning](ポジショニング) 狙ったグループの人に対して、「競合店より、揚げ物が揚げたてで美味しい店」という立ち位置(自慢のポイント)を明確にすることです。

STPという「戦略的マーケティングの核心」の型を体系化し、世界中に普及させたのは、以前にもご紹介した「現代マーケティングの父」です。

【参考文献】 コトラー&ケラー&チェルネフ『マーケティング・マネジメント[原書16版]』丸善出版、2022年

4P(プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション)

 STP(地図)で「どこで、誰に、どんな立ち位置で勝負するか」が決まったら、次は具体的な『行動(実行プラン)』に移します。

地図上の目的地(ほったらかしで売れる場所)へ向かうために、「目的地にピタッとたどり着ける『完璧な乗り物(道具)』」を作るのです。それが4つのPです。

4つのP(コンビニ、スーパー店舗の例)

P:Product(製品・サービス)「何を売るか」                                      「ターゲットの悩みを解決する具体的な道具」ターゲット(夜間のサラリーマン)にピッタリな「元気が出るデカ盛り弁当」を開発することです。

P:Price(価格)「いくらで売るか」                                     ターゲットが喜んで払う「ワンコイン(500円)」に設定することです。

P:Place(流通・場所)「どこで売るか」                                  ターゲットが来る時間に、「一番目立つレジ横のワゴン」に並べることです。(=ほったらかしで売れる場所)

P:Promotion(プロモーション・販促)「どうやって知らせるか」                       ターゲットの心に刺さる「超揚げたて!超大盛り」というポップをデカデカと出すことです。(=売り込まなくても魅力が伝わるポップ)

4Pという「実行の道具」の型を体系化し、シンプルに整理したのは、世界中の企業で使われているこの原典です。

【参考文献】 McCarthy, E. Jerome. (1960). Basic Marketing: A Managerial Approach. R.D. Irwin.

第3部:STPと4Pが「カチッ」とハマれば、売り込みは不要!

 マーケティングの核心(秘訣)は、ここから始まります。「誰に、何を(STP)」を決めてから、「どうやって(4P)」を一貫して揃える。この一貫性が、何よりも重要です。

先ほどの事例(コンビニの夜間)を振り返ってみましょう。

あなたが「夜間のサラリーマン(STPの「ST」:セグメンテーション、ターゲティング)」向けの「元気が出るデカ盛り弁当(STPの「P」:ポジショニング)」というProduct(製品)を作って、「ワンコイン(Price)」にして、「一番目立つレジ横(Place)」に並べ、「超揚げたて!超大盛り(Promotion)」というポップを出したとします。

STP(戦略)と4P(実行)が完璧に一致(=カチッとハマる)していれば、お客様は「あ、これ俺のための弁当だ!」と、一瞬で納得してレジへ持って行ってくれます。

あなたが「どうか買ってください」と頭を下げて売り込む必要は、全くありませんよね。これこそが、ほったらかしでも売れる仕組みなのです。

Recipe #14 まとめ

 マーケティングとは、「STP(戦略)」という地図で目的地(ほったらかしで売れる場所)を見つけ、「4P(実行)」という完璧な乗り物を作ってそこへ到達する、一連の手順のことなのです。

ベテランの経験が、「定石」になる瞬間

 経営学、マーケティングの初学者の方なら「マーケティング=STP+4Pの展開」という、世界共通の「最適解」をスムーズに手に入れることができます。これが「学問」を学ぶ最大のメリット。

ベテランの店員さんなら、日々現場で汗を流す中で、すでにこのSTPと4Pという言葉を知らなくても実践しています。しかし、その長年の経験が、正式にマーケティングを勉強することで、「経験」から「定石」になり、より確かなものになります。

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