Recipe #17 はじめてのマーケティング#6(ポジショニング)

 経営学には8つのジャンル(分類)があります。そのうちの1つが「マーケティング」です。 そしてマーケティングとは『ほったらかしでも売れる仕組みをつくる活動』のことです。

(※ここでいう「ほったらかし」とは、無理な売り込みや宣伝活動をしなくても良いという意味です)

【経営学の8つのジャンル】

1.マーケティング (Marketing)‟ほったらかしでも売れる仕組みをつくる活動„                                        2.生産管理 (Production)                                           3.ロジスティクス (Logistics)                                         4.財務・会計 (Accounting & Finance)                                     5.組織・人事管理 (Organization & HRM)                                   6.情報管理 (Information)                                          7.経営戦略 (Strategy)                                            8.リーダーシップ (Leadership)

 

 「Recipe #17」では、マーケティングの「STP」のP、「ポジショニング」について勉強します。

目次

ポジショニングとは?

 ポジショニングとは一言でいうと、『お客様の頭の中(脳内カタログ)にある「〇〇といえばあの店!」という特等席のイスを、ライバル店より先に奪い取ること』です!

私たちが住んでいる町には、Aスーパー、Bスーパー、ドラッグストア、コンビニなど、お店が山ほどありますよね。

もし自分のお店のポジショニングが曖昧だと、お客様の頭の中では「どこにでもある、なんの特徴もない普通のスーパー」と認識され、わざわざあなたの店に足を運ぶ理由がなくなってしまいます

今日はとにかく安く済ませたいから、A店に行こう」

今日は週末でちょっと贅沢な美味しいお肉を食べたいから、B店に行こう」

「仕事帰りで疲れているから、超時短で買える美味しいお惣菜ならC店だな」

このように、お客様の脳内に「〇〇(ニーズ)といえば = あなたのお店の名前!」という強烈な結びつき(タグ)を作ることこそが、スーパーにおけるポジショニングの本質です。

「ポジショニングマップ」の作り方

 ポジショニングを考える時、経営学では「2本の縦線と横線(十字の軸)」でライバル店との位置関係を整理します(これをポジショニングマップと呼びます)。

ここでの最大の定石は、「価格(安い・高い)」だけで勝負しないことです!

資本力のある大手スーパーとの安売り合戦(価格競争)に巻き込まれたら、現場の店員さんは疲弊し、お店の利益は吹き飛んでしまいます。 だからこそ、次のように「価格以外の軸」を賢く掛け合わせて、自店が一番輝けるイス(特等席)を見つけ出します。

【時間軸(タイパ)】 × 【健康軸】の例

「時間はかけたくないけれど、家族には健康的なものを食べさせたい」というターゲットに向けて、「無添加・有機野菜を使った『超時短の冷凍ミールキット』なら絶対にウチの店!」という独占のイスを獲る

【品質軸(圧倒的専門性)】 × 【地域密着(ローカル)】の例

他店が全国チェーンの安いお肉を売る中で、「地元の〇〇牧場から直接仕入れた、極上のこだわりお肉パックなら絶対にウチの店!」という信頼のイスを獲る。

ポジショニングを理解する「最大の効果」

「ウチの店はお客様の脳内で、どのイスに座っているか(=独自のウリは何か)」を現場の店員さんがハッキリ知っていると、毎日の売り場の景色が一変します。

① 売り場づくり(商品構成・陳列)に「圧倒的な統一感」が生まれる!

 もし「地元産・こだわり品質」のイスを狙っているのに、売り場の一番目立つ場所(エンド陳列)に「全国どこにでも売っている安売りのカップ麺」を並べたら、お店のメッセージはブレブレになりますよね

ポジショニングを理解していれば、「ウチの店のウリを最大化するために、ゴールデンゾーンにはあの地場野菜と地元のお肉をドカンと並べよう!」と、お店のブランドを強める正しい売り場づくりができるようになります。

② 他店を「気にしなくてよくなる(無駄な焦りからの解放)」

 近くに激安のライバル店がオープンしても、焦って見切りシールを貼ったり、無理な値下げをする必要がなくなります。

「あそこは『安さ』のイスに座る店。ウチは『タイパと健康』のイスに座っている店だから、戦う土俵(お客様の来店理由)が全く違う!」と堂々と構えることができ、現場のメンタルと利益を確実に守ることができます。

S・T・P は3つ揃って初めて「売れる売り場」になる

 ここまで学習した3つのステップを繋げると、現場の戦略が一本の美しい線で繋がります。

S(セグメンテーション): ごちゃ混ぜの客層を、ニーズごとに「グループ分けする」

T(ターゲティング): そうしてグループ分けした中から、自店のお客様で特に多い客層(セグメント)を見極めて、そこに限られた予算・時間・体力を集中投下し、「売上の最大化を図る」

P(ポジショニング): 狙ったターゲットの客層グループに、「〇〇ならあそこのスーパー」と一番に「覚えてもらう」

まとめ:ベテランの「感覚」を一生モノの「武器」にしよう

 実は、現場の優秀なベテラン店員さんたちは「STP」なんて難しい言葉を知らなくても、日々の業務の中でこれを「無意識」にやっています。長年の経験から「どうすれば商品が売れるか」を肌感覚で体得しているからです。

なぜ、わざわざ「言葉(理論)」にして学ぶのか?

 ベテランの「なんとなくの感覚(無意識)」を言葉に整理することで、「いつでも、誰でも、狙って再現できる一生モノの武器(有意識)」へと変えるためです。

感覚を体系化(レシピ化)すると、現場で次の2つの圧倒的な強みが手に入ります。

自分の迷いが消える: 売れない売り場を前にして迷った時、STPという地図に戻れば、自店のズレを瞬時に見抜いて修正できます。

後輩を育てられる: 「背中を見て覚えろ」という理不尽な指導ではなく、「うちのターゲットとウリはこれだから、こう並べよう」と言葉で納得させて教えることができます。

「売れる売り場」を作るSTPのリレー

 最後におさらいしましょう。この3つはリレーのように繋がる、最強の作戦コンボです。

S(セグメンテーション): ごちゃ混ぜの客層を、ニーズごとに大雑把に「切り分ける」。

T(ターゲティング): そうして切り分けた中から、限られた体力と売り場を集中投下して勝てる相手に「狙いを定める」。

P(ポジショニング): そうして狙いを定めたお客様に、「〇〇ならあそこのスーパー!」と一番に「覚えてもらう」。

マーケティングの理論とは、決して机上の空論ではありません。先人たちやベテラン店員が汗をかいて見つけ出した「売れる感覚」を、私たちが少しでも楽をして勝てるように残してくれた「最高の攻略本(レシピ)」なのです。

さあ、あなたのお店(売り場)は、お客様の脳内でどんな「イス」を狙いに行きますか? 明日からの品出しと売り場づくりが、きっと今までとは全く違うワクワクする景色に見えてくるはずです!

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