経営学には8つのジャンル(分類)があります。そのうちの1つが「マーケティング」です。 そしてマーケティングとは『ほったらかしでも売れる仕組みをつくる活動』のことです。
(※ここでいう「ほったらかし」とは、無理な売り込みや宣伝活動をしなくても良いという意味です)
【経営学の8つのジャンル】
1.マーケティング (Marketing)‟ほったらかしでも売れる仕組みをつくる活動„ 2.生産管理 (Production) 3.ロジスティクス (Logistics) 4.財務・会計 (Accounting & Finance) 5.組織・人事管理 (Organization & HRM) 6.情報管理 (Information) 7.経営戦略 (Strategy) 8.リーダーシップ (Leadership)
「Recipe #15」では、マーケティングの「STP」のS、「セグメンテーション」について勉強します。
セグメンテーションとは?
セグメンテーションを一言でいうと、「お客様を同じようなニーズに基づいて、大雑把にグループ分けすること」です。
来店するお客様1人ひとりの細かな要望(One to One)にすべて応えようとするのは、現実的ではありません。「人参を半分に切って」「私は皮を剥いて」と全員の好みに個別対応していたら、現場のオペレーションは一瞬でパンクし、人件費というコストが爆発して利益は吹き飛んでしまいます。
だからこそ、理想論を捨てて「効率よく勝つために、ちょうどいいサイズの『塊』に大雑把にまとめる作戦」が必要になります。これがセグメンテーションです。
この作戦には、大きく分けて4つの「切り口(変数)」があります。
1. 地理的変数(エリア・気候) = 「どこに住んでいるか?」
地域、気候、都市の規模、交通網など、場所による分類です。
人口統計的変数(属性) = 「どんな人か?」
年齢、性別、家族構成、職業、所得など、人の基本データによる分類です(デモグラフィックとも呼ばれます)。
心理的変数(価値観・ライフスタイル) = 「何を大切にしているか?」
性格、価値観、ライフスタイル、こだわりなど、お客様の「心の中にある基準」による分類です。
行動変数(購買行動) = 「どんな買い方をするか?」
買うタイミング、来店頻度、買う量、ブランドへの信頼度など、実際の行動パターンによる分類です。
4つの変数を「掛け合わせる」
実際の現場では、これら4つのメス(切り口)をバラバラに使うのではなく、掛け合わせて(組み合わせて)使います。
例えば、
- 地理的: 車移動が基本の郊外に住んでいて
- 人口統計的: 共働きの30代夫婦で
- 心理的: 平日は料理の時間を限界まで削りたくて(タイパ重視)
- 行動: 週末に1週間分の食材をまとめ買いする
というように、いくつかの変数を組み合わせるのです。
バラバラだった「お客様」という巨大な塊を、ここまで立体的に切り分けて初めて、「よし、週末のエンド陳列には、そのまま冷凍庫に放り込める大容量の冷凍食品(ミールキット)をドカンと並べよう!」という、絶対に外さないピンポイントの作戦(ターゲティング)の土台が完成し、無駄のない圧倒的な売上(利益)を叩き出せるようになります。
まとめ:セグメンテーションは現場の「防具」である
福沢諭吉先生は『学問のすすめ』で、勉強とは悪い大人に「騙されないため」にする実学(役に立つ学問)であると説きました。

ビジネスにおけるセグメンテーションも、まさにこの「騙されないための実学」であり、現場のあなた自身を守る「最強の防具」です。
もし、この客層の切り分け(セグメンテーション)をサボり、自分の勘や雰囲気、あるいは本部のマニュアル通りに「とりあえず全部並べよう」と闇雲に品出しをすればどうなるか? 自店の客層に合わない大量の売れ残り(在庫・廃棄ロス)が発生し、売れない売り場を前にして上司から詰められ、心も体もボロボロにすり減らすという「理不尽な遭難」が待っています。
「ひとりひとりの細かいニーズに応えるのは無理だから、大雑把にグループ分けして対応する」
この作戦を知っているだけで、毎日の発注、品出し、陳列のすべてに「これをやる明確な意味」が生まれ、無駄な疲労からあなたを守ってくれます。
さあ、市場を綺麗に切り分ける(S)ことができました。 次は、切り分けたグループの中から「じゃあ、うちの店はどこを狙い撃ちすれば一番効率よく勝てるのか?」を見極めるステップ、すなわち「T(ターゲティング)」の定石へと進みましょう!

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