Recipe #15 はじめてのマーケティング#4(セグメンテーション)  

 経営学には8つのジャンル(分類)があります。そのうちの1つが「マーケティング」です。 そしてマーケティングとは『ほったらかしでも売れる仕組みをつくる活動』のことです。

(※ここでいう「ほったらかし」とは、無理な売り込みや宣伝活動をしなくても良いという意味です)

【経営学の8つのジャンル】

1.マーケティング (Marketing)‟ほったらかしでも売れる仕組みをつくる活動„                                        2.生産管理 (Production)                                           3.ロジスティクス (Logistics)                                         4.財務・会計 (Accounting & Finance)                                     5.組織・人事管理 (Organization & HRM)                                   6.情報管理 (Information)                                          7.経営戦略 (Strategy)                                            8.リーダーシップ (Leadership)

 

 「Recipe #15」では、マーケティングの「STP」のS、「セグメンテーション」について勉強します。

目次

セグメンテーションとは?

 セグメンテーションを一言でいうと、「お客様を同じようなニーズに基づいて、大雑把にグループ分けすること」です。

来店するお客様1人ひとりの細かな要望(One to One)にすべて応えようとするのは、現実的ではありません。「人参を半分に切って」「私は皮を剥いて」と全員の好みに個別対応していたら、現場のオペレーションは一瞬でパンクし、人件費というコストが爆発して利益は吹き飛んでしまいます。

だからこそ、理想論を捨てて「効率よく勝つために、ちょうどいいサイズの『塊』に大雑把にまとめる作戦」が必要になります。これがセグメンテーションです。

この作戦には、大きく分けて4つの「切り口(変数)」があります。

1. 地理的変数(エリア・気候) = 「どこに住んでいるか?」

地域、気候、都市の規模、交通網など、場所による分類です。

「ウチの店舗は雪国で郊外型だから、冬は大型の除雪スコップや、食料品の買い溜め用の大容量パックが売れる」「駅前の店舗だから、電車で持ち帰りやすい小分けサイズ(タイパ・利便性重視)にする」といった、地域特性や立地に合わせた品揃えの基準になります。

人口統計的変数(属性) = 「どんな人か?」

年齢、性別、家族構成、職業、所得など、人の基本データによる分類です(デモグラフィックとも呼ばれます)。

「おもちゃ付きのお菓子は、ファミリー層(子育て世代)の子供の目線に合わせて低い棚に置く」「シニア層が多い地域だから、和食のお惣菜や小容量のパックを増やす」といった、誰が見てもわかりやすい最もオーソドックスな切り分け方です。

心理的変数(価値観・ライフスタイル) = 「何を大切にしているか?」

性格、価値観、ライフスタイル、こだわりなど、お客様の「心の中にある基準」による分類です。

「多少高くてもオーガニック野菜や糖質オフ食品を買う『健康・品質重視』のグループ」「とにかく1円でも安さを求める『コスパ重視』のグループ」「高くてもいいから調理時間を限界まで削りたい『タイパ(時短)重視』のグループ」など、同じ年齢や性別でも、買い物の価値観が全く違う人々を切り分ける時に使います。

行動変数(購買行動) = 「どんな買い方をするか?」

買うタイミング、来店頻度、買う量、ブランドへの信頼度など、実際の行動パターンによる分類です。

「週末に車で家族で来てまとめ買いするグループ」「毎日夕方に歩いて来て、その日の夕飯(惣菜)だけをパッと買うグループ」「半額シールが貼られる時間帯だけをピンポイントで狙って来るグループ」など、お店の利用パターンによる切り分けです。

4つの変数を「掛け合わせる」

 実際の現場では、これら4つのメス(切り口)をバラバラに使うのではなく、掛け合わせて(組み合わせて)使います。

例えば、

  • 地理的: 車移動が基本の郊外に住んでいて
  • 人口統計的: 共働きの30代夫婦で
  • 心理的: 平日は料理の時間を限界まで削りたくて(タイパ重視)
  • 行動: 週末に1週間分の食材をまとめ買いする

というように、いくつかの変数を組み合わせるのです。

バラバラだった「お客様」という巨大な塊を、ここまで立体的に切り分けて初めて、「よし、週末のエンド陳列には、そのまま冷凍庫に放り込める大容量の冷凍食品(ミールキット)をドカンと並べよう!」という、絶対に外さないピンポイントの作戦(ターゲティング)の土台が完成し、無駄のない圧倒的な売上(利益)を叩き出せるようになります。

まとめ:セグメンテーションは現場の「防具」である

 福沢諭吉先生は『学問のすすめ』で、勉強とは悪い大人に「騙されないため」にする実学(役に立つ学問)であると説きました。

ビジネスにおけるセグメンテーションも、まさにこの「騙されないための実学」であり、現場のあなた自身を守る「最強の防具」です。

もし、この客層の切り分け(セグメンテーション)をサボり、自分の勘や雰囲気、あるいは本部のマニュアル通りに「とりあえず全部並べよう」と闇雲に品出しをすればどうなるか? 自店の客層に合わない大量の売れ残り(在庫・廃棄ロス)が発生し、売れない売り場を前にして上司から詰められ、心も体もボロボロにすり減らすという「理不尽な遭難」が待っています。

「ひとりひとりの細かいニーズに応えるのは無理だから、大雑把にグループ分けして対応する」

この作戦を知っているだけで、毎日の発注、品出し、陳列のすべてに「これをやる明確な意味」が生まれ、無駄な疲労からあなたを守ってくれます。

さあ、市場を綺麗に切り分ける(S)ことができました。 次は、切り分けたグループの中から「じゃあ、うちの店はどこを狙い撃ちすれば一番効率よく勝てるのか?」を見極めるステップ、すなわち「T(ターゲティング)」の定石へと進みましょう!

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