「Recipe #11」~は、経営学をはじめて学ぶ経営学専攻の大学生や、経営学を正面から学びたい人向けの記事です。
そもそも学問とは何か?
「経営学」を学ぶ大前提として、まずは「経営学は『学問』である」という事実を押さえる必要があります。
そもそも「学問」がどういうものかを知らないまま経営学を勉強しようとするのは、WindowsなどのOS(基本ソフト)が入っていないパソコンに、エクセルやSNSのアプリを無理やりインストールしようとするようなものです。まず学問という基本ソフトを頭にインストールしなければ、経営学や○○学といったアプリは正しく作動しません。
学問と定石とレシピは同じもの
学問を説明するのに、身近な言葉に置き換えるとわかりやすいです。それは『学問 = 定石 = レシピ』です。
定石(じょうせき)とは、囲碁や将棋(将棋は定跡と書きます)の世界で、昔の人が長期間にわたって研究してきた「最も負けにくい、勝ちやすい指し方・打ち方の手順」をまとめたものです。
1つ例を出しましょう。オリンピックの水泳競技で「自由形」という種目があります。この種目はどんな泳ぎ方をしても良いというルールなのに、選手は全員「クロール」で泳ぎますよね? なぜか?
『俺たちも考えられるあらゆる泳ぎ方を試したんだけど、結局クロールが1番速いんだよね。』
ということです。つまり、この歴代選手たちのセリフこそが水泳における「定石」なのです。
学問とは、バラバラに存在している断片的な情報や知識を、一定の原理や論理に従って整理・統合し、構造化された1つの大きなまとまり(システム)にしたもの。これを「体系化された知識」といいます。 経営学の本も、囲碁の定石書も、料理のレシピ本も、昔の人たちが試行錯誤し、導き出した現時点での最適解が書かれています。
学問とは定石である
囲碁には「定石」があり、料理には「レシピ」があります。それと同じように、経営(仕事)における最適解のまとまりこそが「経営学」なのです。
大学でレポート課題を出されたら
この「定石(共通のレシピ)を見つける」という感覚がわかれば、大学のレポートも格段に書きやすくなります。
例えば、経営学専攻の大学生にマーケティングのレポート課題が出たら、世の中の各企業の「売れている商品の特徴や共通点を洗い出してまとめる」だけでいいのです。 生産管理のレポートなら、「スムーズな生産プロセスができているお店や工場の共通点を見つけて、レポートに書く」。
そうやって見つけ出した「共通点」をまとめたものが、経営学における『定石』なのです。
「学問と定石」が同じだと理解したら
学生がレポートを前にしてWordの白紙画面でフリーズするのは、「何を書けばいいか分からない(ゼロから生み出そうとしている)」からです。 「学問=体系化された知識」というOSをインストールすると、レポート作成は「型(定石)に変数を当てはめるだけの作業」に変わり、システム2の消耗が劇的に減ります。
「論理的に構造化されたレポートを書ける学生」は、社会に出た瞬間に「通る企画書・読まれる議事録が書ける優秀な若手」になり得ます。レポートの質を上げる訓練は、「仕事ができる人材」を育てる訓練なのです。
経営学(学問)を学ぶメリット
中学生、高校生のころ、「これ勉強して意味あんのか?」「社会でほんとに使うのか?」と思っていた人が大半だと思います。筆者も、ずっと思っていました。
しかし、これまでの記事で、「学問=定石=レシピ」だと伝えました。水泳で例えると、
『俺たちもあらゆる泳ぎ方を試したんだけど、結局クロールが1番速いんだよね。』
という、先人たちの試行錯誤の結論(型)でしたよね。
学問(経営学)を学ぶメリットは、まさにこの「膨大な時間と労力をかけた試行錯誤」を省略して、いきなり「最適解(定石)」を知ることができる点にあります。
もし先人たちの試行錯誤(レシピ)がなければ、あなたは自分1人で、膨大な時間と労力を使って、最初から「自分なりのクロール(最適解)」にたどり着くしかありません。経営学を学べば、その大変なプロセスを省略して、すぐに「最適解のクロール」で泳ぎ始めることができるのです。これが、最大のメリットです。

経営学の分類
経営学には8つのジャンル(分類)があります。
1.マーケティング (Marketing) 2.生産管理 (Production) 3.ロジスティクス (Logistics) 4.財務・会計 (Accounting & Finance) 5.組織・人事管理 (Organization & HRM) 6.情報管理 (Information) 7.経営戦略 (Strategy) 8.リーダーシップ (Leadership)
この8つのジャンル分けには、明確な「ルーツ(原点)」があります。 1916年、フランスの経営学者アンリ・ファヨールが自身の著書『産業ならびに一般の管理』の中で示した、企業の「6つの主要活動」。これこそが、現在の経営学の分類の基礎になっているのです。
【出典・参考文献】 『産業ならびに一般の管理』 アンリ・ファヨール 著 (邦訳版:未来社 1972年発行 佐々木恒男 訳 / ダイヤモンド社 1985年発行 山本安次郎 訳)
「経営学」は8つのジャンルの総称
8つのジャンルの総称を「経営学」と言います。 医学(病院)で例えるなら、「内科」「外科」「小児科」「眼科」…これら個別の専門ジャンルの総称(全体をまとめたもの)が『医学』ですよね。経営学もまったく同じ構造です。
「マーケティング」「生産管理」「財務・会計」「人事」…これら個別の企業活動(ジャンル)の総称(全体を体系化したもの)が『経営学』です。
8つのジャンルの機能
この8つのジャンルは、決してバラバラに動いているわけではなく、すべて繋がって(連動して)います。
いくら①マーケティングで「大ヒット間違いなしのキャンペーン」を企画しても、②生産管理の現場がパンクして商品が作れなかったり、③ロジスティクスが崩壊して配送が遅れたり、⑤組織・人事管理がボロボロでアルバイトが全員辞めてしまえば、会社は潰れます。
つまり、経営学とは「8つのジャンルをバラバラに学ぶこと」ではなく、「この8つのアプリが、お互いにどう連携して動いているのか(全体最適)を理解するための学問」なのです。

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