経営学には8つのジャンル(分類)があります。そのうちの1つが「生産管理」です。 そして生産管理とは『いつでも商品がある状態を、ムダなくつくる活動』です。
【経営学の8つのジャンル】
1.マーケティング (Marketing)‟ほったらかしでも売れる仕組みをつくる活動„ 2.生産管理 (Production)‟いつでも商品がある状態を、ムダなくつくる活動„ 3.ロジスティクス (Logistics) 4.財務・会計 (Accounting & Finance) 5.組織・人事管理 (Organization & HRM) 6.情報管理 (Information) 7.経営戦略 (Strategy) 8.リーダーシップ (Leadership)
生産管理とは?
生産管理とは、「いつでも商品がある状態を、ムダなくつくる活動」です。 「生産」という言葉を聞くと、工場の中だけの話かと思うかもしれませんが、そうではありません。
生産管理の本質は、材料や部品から最終製品(商品)をつくりだすプロセス(作業工程)が「スムーズに流れる状態」をつくって、実行することです。 したがって、工場だけではなく、個人経営のラーメン屋さん、コンビニ、スーパーでも、立派な「生産管理」が行われているのです。
「生産管理」の考え方
もちろん、コンビニの手作りおにぎりやファストフード、スーパーでお肉を切り分けてパッケージングする作業は、商品を「作っている」ので間違いなく「生産」です。この加工のプロセス(作業工程)がスムーズに流れているなら、それは完全に「生産管理」ができている状態と言えます。
しかし、商品を加工したり、組み立てたりすることだけが「生産管理」ではありません。 最終的に「お客様が買える状態にし、実際に売れるまでの一連の流れを、ムダなくスムーズに回す活動」は、すべて「生産管理」と呼べるのです。
スーパー、コンビニにおける「最終製品を作り出すプロセス」とは?
以下の3つのプロセス(作業工程)を「スムーズに流れる状態」にすることが、スーパーやコンビニにおける生産管理です。
1. 発注・仕入れ
2. 品出し・陳列
3. 品質管理・見切り
つまり、スーパーやコンビニにおける生産管理とは、「①仕入れて、②並べて、③売り切る」という3つのプロセスを、いかにムダなくスムーズに流し続けるかという活動に他なりません。
工場のように「モノの形」は変えなくても、段ボールに入ったただの荷物を「お客様がいつでも買える魅力的な商品」へと状態を変えること。それこそが、小売業における立派な「生産(モノづくり)」なのです。
「生産管理」に必要な数字
製造業(工場)における生産管理が「モノの形を変えること」だとしたら、小売業(スーパーやコンビニ)の生産管理は「商品の流れ(在庫)を、発注から販売までトータルでスムーズにコントロールすること」です。
この在庫コントロールを完璧に行うためには、以下の「7つの数字」を把握しなければなりません。
- 保管できる最大量(バックヤード・売り場を含めた物理的なキャパシティ)
- 賞味期限(商品の寿命・売り切るまでのリミット)
- アイテム数(取り扱う商品の種類数)
- 1日当たりの販売個数(商品が売れていくスピード・平均値、売れる時間帯)
- 納品する曜日(商品がお店に補充されるタイミング)
- 発注から納品までの時間(リードタイム)(発注してから店に届くまでのタイムラグ)
- 発注の最小単位(ロット数)(1個単位か、1ケース単位か)
1. 保管できる最大量
当たり前ですが、商品や消耗品を保管・陳列できるスペースには物理的な限界があります。ここを理解していないと、「発注したのに並べきれない」という事態が発生します。特に冷凍食品や氷などは、容量を把握せずに発注すると入りきらず、商品を溶かして廃棄にしてしまう悲劇を招きます。
そのため、「単品ごとに保管できる具体的な数や量(例:冷凍から揚げ1kgは最大12袋までなど)」と、「お店全体での最大保管量(例:コンビニ飲料なら、ケース在庫は裏に最大約50〜60ケース。バラ在庫は表の売り場に約1,600本、裏の補充棚に約500本で、総数約2,100本など)」の両方を、できるだけ正確に数値化して把握しておく必要があります。
2. 賞味期限
食品には必ず賞味期限があります。1日当たりの販売数も商品によって異なるため、「人気のある商品は多めに、人気がない商品は少なめに在庫を持つ」といった、期限を意識したコントロールが必要です。
紙パックのコーヒーや牛乳、ヨーグルトなどは賞味期限が短いため、発注担当者はかなり神経を使います。さらにシビアなのが、コンビニやスーパーのファストフード(唐揚げやポテト)や手作りお弁当です。これらは店頭に出してから「約6時間」と賞味期限が極端に短いため、お客様が来そうな時間帯を考えて『作る量』を調整しつつ、材料が不足しないで、かつ余らないように仕入れしなければならない。担当者の腕の見せ所です。
3. アイテム数(取り扱う商品の種類数)
次から次へと出る新商品をすべて注文していたら、あっという間に保管できる最大量に達してしまいます。そうならないために、保管スペース(売り場・バックヤード)を計算し、取り扱うアイテム数の上限を設ける必要があります。しかし、○○対象商品だからとかキャンペーンだから注文せざるを得ないというのっぴきならない理由がよく出てきます。このケースも込みでアイテム数のコントロールをするのがベテランの発注担当者です。
4. 1日当たりの販売個数
1日当たりの販売個数が分かれば、キープすべき適正な在庫数が分かり、欠品や過剰在庫を防ぐことができます。しかし、ただ「全体の販売個数」が分かればいいというものではありません。
例えば、「UCCブラックコーヒー190g」が1日80本売れているとします。実はここに落とし穴があります。ホットもコールドも「商品はUCCブラックコーヒー190gで全く同じバーコード」なので、レジの販売データ(POS)上ではどちらが売れたのか区別がつかないのです。
つまり、データだけを見ていても、「ホットで何本売れて、コールドで何本売れたのか」という本当の内訳は分かりません。この内訳まで現場で把握していなければ、本当の意味での適正な保管個数は割り出せないのです。
5. 納品する曜日(納品の頻度)
例えば「消耗品は毎週月曜日と金曜日に納品させる」など、他の商品(日用品やお菓子)の納品日と被らないように分散させる工夫が必要です。これにより、納品時のお店のスタッフの負担が減り、作業がスムーズに進みます。
6. 発注から納品までの時間(リードタイム)
発注してから商品が納品されるまでの時間です。発注した翌日に届く商品もあれば、1週間後にしか届かない商品もあります。また、コンビニなどでは「特定の曜日(水曜日と日曜日など)は日用品や消耗品の納品がお休み」というケースもあり、ここを計算に入れておかないとうっかり欠品させてしまいます。
7. 発注の最小単位(ロット数)
「1つ注文したら、24本入りの1ケースが納品される」といった発注単位のことです。ベテランの店員さんなら間違えないと思いますが、瓶ビールが24本欲しくて発注端末に「24」と入力したら、いざ納品された時に「24ケース」も届いてしまった……なんてことにならないよう、注意が必要です。

まとめ
スーパーやコンビニなどの小売業における生産管理とは、「仕入れたモノを、お客様が買える状態に変換し、ロスなく売り切るまでの『流れ』をコントロールすること」です。
その流れをよどみなく、スムーズに回し続けるために必要なのが、今回ご紹介した「7つの数字(キャパシティ・期限・アイテム数・販売数・納品日・リードタイム・ロット数)」です。
勘や経験だけに頼るのではなく、この7つの数字をパズルのように組み合わせて発注の精度を上げること。これこそが、お店に利益を残す最強のシステムになります。

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