経営学には8つのジャンル(分類)があります。そのうちの1つが「リーダーシップ」です。 リーダーシップとは「コンパスが指す方向へ組織を引っ張っていくこと」です。
【経営学の8つのジャンル】
1.マーケティング (Marketing)‟ほったらかしでも売れる仕組みをつくる活動„ 2.生産管理 (Production)‟いつでも商品がある状態を、ムダなくつくる活動„ 3.ロジスティクス (Logistics) 4.財務・会計 (Accounting & Finance) 5.組織・人事管理 (Organization & HRM)‟人間の弱みを仕組みで補い、個人の能力(ポテンシャル)を引き出す活動„ 6.情報管理 (Information) 7.経営戦略 (Strategy)‟「うちの組織、これからどっちに向かって進むの?」という方向性を示すコンパス„ 8.リーダーシップ (Leadership)‟コンパスが指す方向へ組織を引っ張っていく活動„
ドラッカーは自身の著書の中で、「リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである」と述べています。
Recipe #25で、『経営戦略とは「うちの組織、これからどっちに向かって進むの?」という方向性を示すコンパスです』と紹介しました。リーダーシップとは、そのコンパスが示した方向へ組織を引っ張っていく活動と定義できます。
リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである。 ピーター・F・ドラッカー『マネジメント[エッセンシャル版]基本と原則』(上田惇生 訳、ダイヤモンド社、2001年)より
リーダーシップは「仕事」である
リーダーシップが発揮されるまでの仕事の流れを、3つのステップで紹介します。
① 経営戦略(事業戦略:「運営本部」などの仕事)
② 組織・人事管理(機能別戦略:「店舗の責任者」の仕事)
③ リーダーシップ(店舗責任者クラスの仕事)
「管理型マネジャー」から「変革型リーダー」へ
組織の責任者になったとき、多くの人はまず「管理型マネジャー」になろうとします。
管理型マネジャーとは、決められたルールや仕組みを守り、現状の業務をミスなく効率的に回すことに長けた人のことです。スーパーの例で言えば、毎日のシフトに穴を開けず、マニュアル通りにお弁当を作らせる優秀な管理者のことです。もちろん、組織にとってこの機能は欠かせません。
しかし、駅前に強大なライバル店が現れたような「環境の変化」が起きたとき、現状を維持するだけのマネジメントではお店は生き残れません。ここで必要になるのが、「変革型リーダー」への進化です。
変革型リーダーとは、過去のやり方(現状)を壊すリスクを恐れず、新しい戦略(コンパス)が示す未来へ向けて組織を引っ張る人のことです。仕組みの中で人を管理するだけでなく、人の心に火をつけて「変化」を生み出す存在です。
「今日を無事に終わらせる管理」にとどまるか、「明日を変えるための変革」を起こせるか。 経営戦略というコンパスが新しい道を指し示したとき、組織の生き残りを分けるのは、あなた自身が変革型リーダーへと一歩を踏み出せるかどうかにかかっているのです。

Recipe #28 まとめ
ここまで店長(責任者)を主役にして解説してきましたが、最後に一つ、一番大切なことをお伝えしてこの記事の結びとします。
それは、リーダーシップとは決して「役職者やリーダーという肩書きを持つ人だけの仕事ではない」ということです。
ドラッカーは、著書の中でこうも述べています。
「リーダーシップは、階級や特権、肩書き、富ではない。それは責任である」
出典: ピーター・F・ドラッカー『プロフェッショナルの条件』(上田惇生 訳、ダイヤモンド社、2000年)より
先ほどのスーパーの例で言えば、新しいお弁当作りの研修に戸惑っている新人スタッフに対して、現場のパート従業員さんが「最初は大変だけど、私たちの作ったお弁当でお客さんに喜んでもらおうよ。私がサポートするから一緒にやってみない?」と声をかけ、現場の空気を前向きに変えたとします。
これも、組織の使命(町で一番の弁当を作る)に向かって周囲の心に火をつける、立派なリーダーシップの発揮です。
「戦略(コンパス)」を描き、「マネジメント(環境・仕組み)」を整えるのは、確かに経営陣や責任者の役割かもしれません。しかしその上で、目指すべき未来に向かって自ら動き、周囲を巻き込んでいく「リーダーシップ(エンジン)」は、役職や立場に関係なく、誰もが自分の持ち場で発揮できる行動なのです。
コンパスが示した新しい方向へ、組織という船を動かすのは現場の一人ひとりです。明日から、あなたも自分のいる場所で、小さなリーダーシップのエンジンを回してみませんか?

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